日本にもっと輸入車の楽しさを伝えていきたい--大喜多寛 アウディ・ジャパン社長
独フォルクス・ワーゲン傘下のプレミアムブランド、アウディ。全世界で109万台を売り上げ、欧州では2010年実績でメルセデス・ベンツの販売台数を上回った。日本国内でも10年は過去最高の販売台数を更新。リーマンショックの影響を受けずに4年連続で販売を伸ばした。11年もさらなる販売拡大を目指す。アウディの強さの秘密はどこにあるのか。新小型車「A1」の発表会のあと、アウディ・ジャパンの大喜多寛社長が「東洋経済オンライン」のインタビューに答えた。
--昨今の販売状況は。
2010年の販売は1万6854台と、ピークだった1990年を上回り過去最高を更新した。10年はアウディにとって良い年だった。
今回発表したA1は、全長4メートルにアウディのクルマ作りを詰め込んだ最高のコンパクトカー。エントリーモデルとして、もっと客層の裾野を拡げていきたい。このクルマで新しくプレミアム・コンパクトという市場を開拓する。
今年の販売戦略としては、1月にA1、年中盤から「A6」「A7」「A8」と順次投入していく。A1の販売目標が4000台、A6~A8で計3000台。既存モデルの販売がやや鈍るという前提で、合計2万台の販売を目指す。
--日本の輸入車市場は成熟しているといわれている。その中でアウディだけが販売を伸ばしている理由は。
まず、アウディの成功は新型車を積極的に投入したことにある。今まではセダン系を中心にA3、A6、「TT」が売れ筋だったが、09年にTT、「Q5」といったSUV(多目的スポーツ車)がヒットした。
2つめに、商品力の高さやブランドの浸透が挙げられる。現在のアウディは運転する楽しさだけでなく、スイッチの音など細かいところまで良い仕上がりになっている。アウディのコアメッセージは「技術による先進」(Vorsprung durch Technik)。それは単なるテクノロジーの進歩というだけでなく、仕事や考え方の革新でもある。
3つめに、販売店の基礎的な力が向上している。私は1度アウディに乗ってくれたお客様から継続して乗ってもらえる代替率を重視している。05年に私がこの会社に来たとき、継続してアウディに乗ってくれるお客様の比率は40%しかなかった。その後、顧客満足の向上活動、営業、サービスの3つを一体にして代替率を引き上げる活動を強化した結果、現在は60%にまで上昇している。