日本にもっと輸入車の楽しさを伝えていきたい--大喜多寛 アウディ・ジャパン社長

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--足元は急速に伸びているが、5年後の日本市場での姿をどう描くのか?

今年の販売台数2万台、販売店合計106店の計画からすれば控えめに見えるかもしれないが、5年後に販売台数3万台、販売店合計120店に伸ばしたい。重点拠点は東京、名古屋、大阪の大都市圏。地方には1地域、1店舗をほぼ確立した。きちっとショールームを作り込み、クルマを見せていく。ハイエンドは顧客のニーズが十人十色なので接客技術をもっと改善し、提案力を強化したい。

成熟市場でも、他社との差別化はいかようにもできる。確かにディーラーがやるべきことは出尽くしているところはある。大切なのは、決まっていることを実行に移すことができるか。社内には「実行率を100%にしなさい」と伝えてきた。決められたことを100%やる。それが肝心だ。

--クルマの楽しさを打ち出していくというが、若者のクルマ離れが問題となっている。

若者のクルマ離れが進んでいるのは日本だけ。中国もブラジルも若者が一番欲しがるものはクルマ。その要因はいろいろあるが、まずはクルマを持っていると保険や車検などいろいろなランニングコストがかかる。

もう1つは「クルマはエコじゃない」というイメージが浸透した。一面的にはそうかもしれないが、メリットもある。たとえば家族で旅行しようと思ったら、自由にどこへでも行ける。プライベートな空間で楽しむ、思い出を作るといった側面もある。世界に冠たる自動車王国がこれでいいのか。

アウディが伝えたいことは、クルマというのはわくわくドキドキする存在だということ。実際にハンドルを握る、革やブレーキのにおいをかぐ、リアルで車に触る、といったことが本能を刺激する。クルマにはそういったエモーショナルな部分がある。だから、もっとクルマの楽しさがわかるように、日本の自動車文化を変革しなければならない。

おおきた・ひろし
1960年生まれ。83年に東洋工業(現マツダ)入社。経営企画や国内営業分野を歩む。99年、マツダアンフィニ仙台(現東北マツダ)社長。2002年、BMW日本法人に転じ、MINIブランドダイレクターを経て、06年にアウディ・ジャパンに営業担当取締役として就任。10年9月から現職。

(松浦 大、撮影:鈴木紳平 =東洋経済オンライン)

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