アベノミクスが成功しても、増税は不可避 今後はパチンコ税に、ケータイ保有税も!?
ところが、第3の矢は現時点では思うような成果が見られず、成否が問われているのも事実だ。
アベノミクスが想定通りにうまくいけば、法人税収が増大し、同時に給与生活者の所得に反映されることで、所得税からの徴税プラス個人消費が湧く。それにより、消費税を通じての徴収も見込めるというのだ。
だが、こうした好循環の前に誤算も生じている。すなわち、財政再建目的で税率を10%と決めていた消費税増税を延期したり、諸外国との格差是正のための法人税率引き下げを決定したことなどで、財源不足が生じている。また、景気回復までに費やされる景気刺激予算、消費税増税対策としての低所得者手当、子育て支援などの予算の支出が重くのしかかる。
今後は「パチンコ税」に「ケイタイ税」も!?
否、仮にアベノミクスが期待以上に相当うまくいったとしても、高齢化社会を支えるだけの福祉予算は毎年約1兆円ずつ増え続ける。これを確保するのは、相当に困難だ。
この財源不足を補おうとして政府が目をつけているのが「ケイタイ税」に「パチンコ税」、それに「ビール増税」「たばこ増税」など嗜好品のたぐいだ。中でもたばこなどは、この数年間にたびたび税率が引き上げられているのは周知のとおりだ。また、ビール税にしても、低価格で人気が集中する発泡酒や第3のビールに狙いを定めているといわれる。
そして、いよいよ今回はパチンコ税が導入されることが、本格的に検討され始めている。これは、パチンコやスロットを換金時に課税するというものだ。
ところが、パチンコをたしなむ方はお分かりだと思うが、現状はパチンコ店が客に出玉と交換で金銭を提供することは禁止されている。
そこで、出玉を特殊な景品と交換し、この景品を介在させることで、出玉と金銭の交換を事実上可能にしている。この「三店方式」によって、刑法上の賭博罪は適用除外となっている。だが、出玉の景品を換金する業界慣行の合法性が曖昧で、投資家保護が保てないということで、日本の証券取引所においては上場が認められていない。
アベノミクスの目玉の一つであるカジノを日本で導入するのであれば、賭博法の改正は不可欠だ。だが、同時にパチンコ業も出玉を金銭に交換できるように、たとえば換金免許制度に法律を見直し、換金時に課税してはどうか、というわけだ。
上場の有無は別にして、パチンコ業に対するイメージアップにもつながる。導入が検討しているカジノと同様、日本の産業の柱にもなるという考えだ。
具体的にはこれからだが、例えば1%の課税で約2000億円の税収増が見込めるとされ、財源としては大きい。自民党の税制調査会は、パチンコ税について2015年度からの導入は見送るとしたが、カジノ法の整備が急がれるので、当然同時に審議されるだろう。
一方、嗜好品課税は、汗水流して働いて得た給料から天引きの所得税や買い物のたびに支払う消費税などとは違い、気持ちよくお金を使った時の課税のため、抵抗は比較的少ない。
所有1台につき月額いくらということが検討されているケイタイ税は、国民の抵抗を考え、どうやらもうしばらく後になりそうだが、旧3級たばこ(「わかば」などの6銘柄)の軽減税率の撤廃は決まり、バイク増税は1年後に、と検討されている。
「こんなところに」と思うようなことに、課税される時代がやってきた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら