「目線」チェックで安定感

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プロゴルファー/小林浩美

 澄み切った冬の夜空に輝く星は、一段ときらめいている。遠くを見ると視力が良くなると聞いたことがある。ゴルフでは、飛んでいくボールを追いかけるので、遠くを見る回数が普通の生活よりずっと多くなる。また、飛んでいく方向や角度にも目の動きを合わせるので、目にとって良い運動をしているような気がする。

さて、ゴルフにとって大事なことの一つに「目線」がある。目線とは視線ではなく、右目と左目を結んだ線のこと。このほんの10センチメートルの目線のとる方向で頭の向き、クラブの動かし方、ボールのとらえ方に大きく影響する。
 たとえば、「目線」が目標より右を向く場合。体の向きはおおむね目標に合っているのに頭が少し右に傾く構えである。大概はボールを右横から見過ぎて起こる場合が多い。この構えはテークバックをインサイドに引きやすい。トップからそのまま振り下ろせばインサイドアウトの軌道となり、ボールは自分が思うより右に飛び出し低めのフックボールが出る。また、目線が目標の左を向く場合。これはボールをあまりにも真上から見ようとして目がボールに寄ってしまうとなりやすい。この構えではトップのとき、左に体重が多くかかりやすいため、テークバックがアウトサイドに上がる。そのまま浅い肩の入りから振り下ろすのでアウトサイドインの軌道となる。逆にフォロースルーでは体重が右に残りやすく、両肩の回転の少ないスイングになるため、ボールはあまりつかまらない。

基本的に人は目線の方向にクラブを振りやすい。目標に対して正しくスイングするためには、目線を目標線(ボールと目標を結んだ線)に平行にセットできるように頭の位置とその角度を合わせることが重要である。これは、動きの小さいアプローチやパットにも言える。特にパットは大事である。目線通りにパターヘッドが動くので、右に傾けばボールは右に押し出されやすい。ショットと同様である。ボールが思った方向に出ず、右に押したり左にこねたりしているときは、打ち方だけではなく、構えたときの目線をチェックするといい。目線が思う方向と違えば、スイングの方向が違ってくるので打点も合いづらくなり、ダフリやトップも多くなる。スイング中、目線の動く人は頭が動くことと同様なので、ショットやパットなどの安定する確率が少なくなるのは当然である。

目線のチェックは、誰かに後ろから見てもらうのがよく、一番いいのはプロである。練習場なら同じ場所から右の旗、左の旗、奥や手前などいろんな方向に構えて目線が合っているかどうかチェックする。さらにお勧めは実際のラウンドレッスン。目標に対して正しく向きやすい方向と向きにくい方向がよくわかる。どちらの場合も、訓練して目線が正しいときの見え方を覚えるしかない。これができたら安定度はかなり増す。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝
を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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