「成功するはずがない」インドマックの快進撃

牛肉ゼロ、ベジタリアンメニューで大人気

マクドナルドが行ったのは完全なローカライゼーションだ。ファストフードでありながらも、そこにインド風味をブレンド。インドの消費者の心をつかむことに成功した。米国のマクドナルド各店が、経済低迷や安全への懸念などにより損益悪化に直面しているが、インドのマクドナルドは成長をし続けている。

インドの食品市場におけるマクドナルドの成功は、これからインド進出を考えている企業にとって、モデルケースといえるだろう。インド経済が外国からの投資に対して開放政策をとった1990年代、マクドナルドだけでなく多くの国際的なフードチェーンが進出をしている。KFCやほかの主要ファストフードチェーンもインドでの事業を開始し、激しい競争が発生した。そうした中で、マクドナルドは、インド経済の成長と相まって過去6年間、年平均28.5%という成長を遂げた。過去5年間(2008年度~2013年度まで)だけでも収益は3倍超伸びている。これは300を超えるようになったフランチャイズチェーンが成功しているためだ。

マクドナルドはサプライチェーン経営という点でもローカライゼーションをした。インド向けバーガーは原材料からインドで生産したものだ。このことは、政治家や社会運動家からの反対を回避することに役立った。また、それによって生産コストを低減することができ、マクドナルドのハンバーガーの販売価格はわずか50セント(25ルピー)。ほかにはない味を他社の追随を許さない価格で販売できることは、インドのマクドナルドにとって独自の強みといえるだろう。

高級レストランのイメージ

ブランディングも、まったく異なる。価格は安いものの、ゆったりとした店内で家族で食事を楽しめる高級レストランのイメージで売り出した。 そのうえ、“Toh Aaj McSonald’s Ho Jaye(ヒンディー語で、今日マクドナルドに行こう、の意味)”や“McDonald’s Mein Hai Kuch Baat(マクドナルドにはあなたを引き付ける何かがある、の意味)” といった一連のテレビコマーシャルを連打。多くの客層を虜にした。

マクドナルドは、インド進出の際、合弁事業の形を採用している。特定の地域を担当する2社のパートナー企業を通じて事業を行っており、北部と東部を担当するのがヴィクラム・バクシ氏が社長を務めるConnaught Plaza Restaurants Pvt Ltd (McDonald’s N & E)で、南部と西部を担当するのはアミット・ジャティア氏が社長を務めるHardcastle Restaurants Pvt Ltd (HRPL)(McDonald’s W & S)だ。

多国籍フードチェーンにとってはインドは魅力的な市場であり、各ブランドは、顧客を引き寄せるためにあらゆる手段を尽くしている。そうした中で、マクドナルドは自ら「家族でアメリカ風の外食を楽しむ」というニッチを生み出した。インドにおいて、15年前には存在しなかった新しい習慣を作り出すことに成功したといえるだろう。

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