CES開幕!スマホ鈍化の中で注目の的は? 「モノのインターネット」で新アイデアが続々

拡大
縮小
単価が急落

また、端末出荷台数が伸びる一方、売り上げの伸びは鈍化していている。新興国を中心とした成長により、端末の平均単価が落ちているためだ。CEAと市場調査会社であるGfkが共同で行った調査によると、端末の平均単価は2010年が440ドルだったのに対し、昨年は315ドルまで低下した。2015年はこれが275ドルまで低下するという。

このような単価下落は中国の新興スマホメーカーが担っている。たとえば昨今話題になるシャオミは昨年6100万台を売り上げ、中核モデルは150ドルを切っていた。販売は70%がオンラインの通信販売だった。

このように米国でもシャオミの隆盛が話題になっているが、実はスペックやデザイン、そして価格においても、すでにシャオミはマーケットリーダーではあっても、トレンドリーダーではなくなっているという。シャオミほどの生産キャパシティを持つ新興中国メーカーがいないため、目立って伸びているメーカーが見えないが、新しいブランドが多数登場し、それらがシャオミの持つ市場を窺う形になっている。

特許係争が彼らの足を止めるという意見もあるようだが、単価下落が続く一方で端末のスペックは向上し続けており、インドでの政治的とも思えるシャオミへの販売停止措置を除けばアジア地区で同様の係争は現時点でなく、中国新興メーカーの国外へと進出は続くものと見られる。

さて、冒頭の話に戻る。このような状況で先進国だけでなく、新興国を含めてスマホが普及した結果、生まれてきているのがIoT、とも言えるだろう。IoTはスマホという基礎の上に成り立っている側面があるが、スマホが”新たなビジネスを醸成するためのインフラ”と言えるほどに、普及してきたためだ。

IoTに大きな市場ポテンシャル

世界中で稼働しているパソコンは約17億台と言われるが、スマホは20億台を越えている。しかし、IoTデバイスは少なくとも50億台を越える市場ポテンシャルがあるからだという。あらかじめ予想されていたことではあるが、このCESはIoTがひとつのテーマとなっている。

実際、今回のCESに集まっているIoTは多岐にわたっており、中には思わず笑わずにはいられないものもある。赤ちゃん向けの健康状態を管理するセンサー付きベビー服、おしゃぶり、哺乳瓶などまでIoTで揃う。

低消費電力で常時ワイヤレスで周辺デバイスを接続できるBluetooth 4.0が幅広く使われるようになったことで、20億台以上のスマホに多数のデバイスが次々にぶら下がっていき、スマートフォンをゲートウェイとしてインターネットとモノが繋がっていく。

ただし、疑問もある。多くの企業が伸び盛りの分野と注目していることは間違いないが、果たしてIoTが業界全体の成長を支えるジャンルになるかと言えば、そうではないだろう。「50億台を越える市場規模」とは言うものの、IoTは日常的にありふれた製品がインターネット、ネットサービスへと繋がることで新たな価値を生み出すというコンセプトだ。

多様な品種のIoTが生まれているものの、ひとつひとつのモメンタムは小さい。多種多様な(それぞれの製品に関連性はほとんどない)IoTデバイスを一括りにして「○○億台市場」というのは、事業規模を語る上での方便としてもやや誤解を生む言い方と言えよう。

その一方で、IoTは、成熟した既存製品ジャンルに新たな視点や商品力を加えることで再活性化できる、との考え方はできるだろう。たとえば、タニタやオムロンの体重計がスマートフォン、インターネットサービスと繋がることで、体重計や体組成計といった商品に新たな魅力を加えた。フィリップスのカラーコントロール機能付きLED電球「hue」なども同様だ。世の中にあるありふれた成熟製品のIoT化は、大きな電機メーカーが旗を振って行うものではなく、既存の電機とは無関係な企業の方にこそチャンスがあるのかもしれない。

CES開催前日のプレスカンファレンス後に開催されたミニ展示会では、そんなIoTの分野に投資するふたつの日本企業を見つけた。

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