選択と集中で収益力は改善したが、コロナ禍で揺らぐ可能性も。
「今期(2021年3月期)の業績はコロナ禍でも3350億円の最終利益を確保できる見通しだ。10年間の改革の成果を実感している」。日立製作所の東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は、5月29日の決算説明会でそう総括した。
日立はリーマンショックのあった09年3月期に国内製造業で過去最悪となる7873億円の最終赤字を計上し、生死の瀬戸際に立たされた。そこから電機大手の常識だった「総花的経営」と決別し、好不況に左右されにくい社会インフラ事業への集中を宣言。聖域を設けず大胆にポートフォリオを見直し、高収益企業に変身したことで「勝ち組」とも評された。
その社会インフラを支える成長柱が、IoT基盤「ルマーダ」を活用したデジタル事業だ。ルマーダは日立が持つIT、OT(制御技術)、プロダクトを結集して、データを基に顧客の課題を解決する。
昨年秋に業務提携を結んだ米ウォルト・ディズニーのケースを例に取ると、ディズニーのアトラクションにセンサーを取り付けて温度や振動などのデータを集め、機器の作動状況を分析。最適な保守タイミングを知らせることで、機器の故障を防ぎつつ、稼働率向上にもつなげる。
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