カメラや事務機大手が本格参入。新たな業界再編観測も浮上する。
アビガン、PCR検査、ECMO(エクモ)、パルスオキシメーター──。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、これまではあまり聞き慣れなかった薬や検査方法、医療機器の名前が連日、新聞などのニュースで耳目を集めている。
これらには日本の企業も多く携わっている。中でも世界的に大きな注目を集めているのが、富士フイルムホールディングス(HD)傘下の富士フイルム富山化学が製造・販売し、コロナへの効果が期待される抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」だ。
アビガンは2008年に富士フイルムが買収した旧富山化学工業(現富士フイルム富山化学)が開発した。富士フイルムは、かつての経営の大黒柱だった写真フィルム事業がデジタルカメラの普及で急激に細り、とうとう05年に同事業が赤字に転落。その後、新たな大黒柱へと育てるべく、企業買収や積極的な成長投資を行ってきたのがヘルスケア分野だった。
現在、富士フイルムHDのヘルスケア分野は、短時間でのPCR検査を可能にする遺伝子検出試薬や肺炎の診断で使われるX線診断装置なども手がけ、全社売上高の2割超を占める。20年3月期の部門売上高は前期比4%増の5041億円を計上し、コロナ禍で他事業が軒並み減収となる中、全セグメントで唯一の増収となった。
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