中古が新築を逆転?マンション戦線異常あり 2015年は"節目の年"になるかもしれない

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複数の業界関係者が新築の販売不調を予測する理由は大きく2つある。1つは売り手側の事情による供給戸数の減少だ。

「中小デベロッパーから『マンション用の土地を仕入れている』という話をほとんど聞かない」と、業界関係者は明かす。ブランド力のある大手デベは数年先を見越して、土地を着々と仕入れている。だが、外部環境の影響を受けやすい中小デベは、景気に浮揚感がないうえに地価が上昇傾向にあるため、仕入れ活動に乗り出しにくい状況のようだ。

また、円安進行で輸入資材の価格が高止まり状態にあるほか、建設現場の労働者不足から労務費も高騰。コスト増加分を販売価格に上乗せできればいいが、十分に転嫁することは難しい。

特に郊外物件は販売価格に占める建築費の割合が高いため、建築費の上昇がデベロッパーの利ザヤ低下を招く。この状況を考慮し、着工せずに、保有していた土地をそのまま転売している中小デベもあるという。

買い手も慎重姿勢

中古マンション市場には追い風が吹きそう

もう1つの理由は買い手サイドの問題だ。トータルブレインの杉原氏は「住宅ローンが史上最低金利のため、価格的に少し背伸びした物件を購入しても月々の住宅ローン負担は増えないのだが、消費者には『実質所得が上がっている』との実感がなく、様子見ムードが蔓延している」と指摘する。

反面、中古市場は上り調子となりそうだ。新築と比較した場合の割安感が消費者の間で浸透し、代替需要が増加する見込み。金融機関の住宅ローン拡充や政府の中古住宅普及に向けた取り組み強化も、市場の成長を後押しする公算だ。

もっとも「フラット35の貸出金利の優遇拡充などが実施されれば、ファミリー層の新築実需が戻ってくる可能性がある」(不動産情報サービス会社・東京カンテイの井出武・主任研究員)との見方もある。新築が挽回するか、それとも“逆転劇”が起こるのか、2015年は注目の1年となる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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