(第47回)日本を変革するのは外部から来る経営者

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 企業買収に関連して、しばしばPBR(株価純資産倍率)という指標が用いられる。ここで対象とされる「資産」は、工場や機械などの物的資産や金融資産であり、従業員という人的資産は考慮に入れられていない。仮に人的資産を考慮に入れれば、買収対象としての日本企業の評価は大きく変わる。

しかも、日本人従業員は企業に対する忠誠心が強く、外部からの引き抜きに対して欧米人ほど簡単に企業を離れることはない。こうしたことを考えれば、日本企業は買収の対象として極めて魅力的であるはずだ。

外資の受け入れを拒否する日本

日本への直接投資流入が少ない最大の原因は、官民こぞってそれを阻んでいることだ。日本経団連は、外国企業による日本企業の買収に強い反対を示してきた。また、2007年に外国の投資ファンドが、羽田空港の旅客ターミナルを運営する日本空港ビルを買収しようとしたとき、国土交通省は外資規制が必要と主張した。別の外国ファンドがJパワー(電源開発)の株の買い増しを届け出たとき、経済産業省は「審査に3カ月要する」として決定を先延ばしした。日本では銀行などとの間で株式の持合いが多いので、買収対抗策を打ち出しやすい。

経営者が外資による買収に抵抗するのは当然のことだ。なぜなら買収されれば、自分たちの地位が脅かされるからだ。監督官庁は天下りを送り込めなくなる。これまでの地位と権益を維持したい彼らこそが、最大の「抵抗勢力」になっているのだ。

こうしたことがあって、海外からの日本企業に対する関心は最近、特に弱まっている。

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