政権 The Ruling Power 日本経済新聞社編 ~政権交代のあり方 国家統治の本質に迫る

政権 The Ruling Power 日本経済新聞社編 ~政権交代のあり方 国家統治の本質に迫る

評者 野中尚人 学習院大学法学部教授

 「念願の」政権交代がついに起こり、民主党政権がある種の熱狂の中で誕生したのが遠い過去のように思える。今、多くの国民が感じている率直な印象ではないだろうか。

自民党の崩壊から政権交代。しかし当初の衝撃的なデビューから、次第に混乱へ、そして麻痺にも近い事態へと陥っていった民主党政権。本書は、1年余りが経った政権交代と民主党政権のあり方を振り返ったものだ。類書も多い中、興味深い試みと特色がある。

一つは、多方面の関係者へのインタビューがふんだんに盛り込まれていることだ。学者などの専門家はむろん、海外のウォッチャー、そして実際に政権運営に携わった多くの政治家が採り上げられている。

たとえば中曽根康弘氏から安倍晋三氏まで、6名の歴代総理大臣がそれぞれの政治観を語っている。また、海部俊樹氏や村山富市氏、森喜朗氏らが総理の座に就いた経緯については、「そういうことだったのか」と思わせてくれる興味深い内容だ。

もう一つの特色は、あとがきにもある通り、単なる政局ものではなく、古今東西の政権と比較することによって国家統治の本質を問いかける姿勢だ。統治権力の全体像というのは非常に描きにくいものだが、民主党政権の推移を追う中で、うまくそれに取り組んでいる。

国家統治の本質に迫りたいという目論見は、表紙にある副題にも表わされている。“The Ruling Power”。パワーとは、権力、あるいは力とでも訳せる。ここでの焦点はRulingという言葉の意味だ。Rulingとは、国家、あるいは集団に対して統制力と権威を持つこと、と考えてよい。

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