国内消費の回復は年後半 アジアで一段のM&Aも--三宅占二 キリンホールディングス社長
相乗効果については、医薬品と酒類とでは明らかに領域が違うが、国内では地域ごとにシナジーが生まれている。たとえば、協和発酵キリンの社員がお得意先と飲むときにキリンビールを薦めてもらったり、メルシャンのワインを指名してもらったりする。ビールの社員が人間ドックを受診する際に、協和発酵キリンのお得意先である先生のところを選ぶこともある。シナジーの出し方、グループ共同でのマーケット開拓について、いろいろな知恵が出ている。
--今の話とは直結しないかもしれませんが、三宅社長を中心に健康・機能性食品に力を入れています。
健プロ(健康プロジェクト)と呼び、グループ横断でやっている。サプリメントなどを“目的”的に摂取するのではなく、身近なところで、キリンの強みが生かせる飲料や食品の中で取ってもらうというものだ。
1回目の共通素材が、肝臓機能を活性化するとされるオルニチン。キリンビバレッジ「大人のキリンレモン」などに配合した。売れ行きも順調だ。オルニチンは協和発酵バイオ(協和発酵キリン子会社)の持つ素材であり、キリンの総合飲料との間にシナジーが生まれたともいえる。
--今年はキリンにとって、業界にとって、さらに日本経済にとってどんな1年であってほしいですか。
スーパーなどのプライベートブランド投入もあり、ビール類は2~3%程度のマイナスは覚悟している。飲料はお天気次第だが、プラスマイナス1~2%ぐらいの幅で、天気に恵まれればプラス、恵まれなければマイナスだろう。ただ、商品開発力、営業力、人材育成、収益性の改善に取り組んできた効果が出てきているので、11年は売り上げのほうでも本格的に期待したい。
年後半には国内消費の回復傾向が必ず出てこよう。中国を中心に、相変わらず旺盛なアジアの経済力にも支えられるだろう。そうした期待を込めて事業運営をしていきたい。
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(聞き手:大滝俊一・週刊東洋経済編集長、張 子溪 =週刊東洋経済2011年1月8日号)
みやけ・せんじ
1948年生まれ。70年慶應義塾大学経済学部卒、キリンビール入社、酒類営業に従事。2007年キリンビール社長。10年3月から現職。(写真は野球好きな三宅社長、イチロー直筆サインの前で)
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