国内消費の回復は年後半 アジアで一段のM&Aも--三宅占二 キリンホールディングス社長
また、キリンビバレッジはすでにベトナムに合弁会社があり、タイには販売組織がある。フィリピンのサンミゲルビールも、マジョリティではないが子会社化しており、東南アジアで酒類の有力ブランドとして展開できる。今まで「点」でしか展開してこなかった東南アジア市場全体に力を入れている。
--飲料という製品は、ローカライズ(現地化)が重要です。
キリンの国際化では、総合飲料に限れば、いきなりキリンブランドを現地にぶら下げていって売ることはない。現地の人に支持されている有力パートナーと組み、そのブランド価値を一緒に上げていく。まずはそういうプロセスを踏んだうえで、キリンのブランドを上乗せしていく。
お客様に身近な商品を作り、グローバル展開している会社は、実はどこも極めて似た企業理念を持っている。今、キリングループには「KIRIN WAY」という、お客様本位、品質本位、先駆、誠実の4点を大事にする価値観がある。ライオンネイサンやナショナルフーズにも同じような企業理念があり、一緒にやっていくうえで違和感はない。
医薬含めシナジーを追求 グループ横断で新商品も
--15年に海外売上比率30%の目標を掲げていますが実現性は。
足元では25%ぐらいいっている。M&Aの結果として海外比率が急速に上がってきたのは当然であり、オーストラリアや東南アジア事業の今後も考えれば、十分目標達成圏内だ。
今後M&Aがありうるのは、飲料、酒類。あるいは乳製品の分野。固形食品は視野にない。対象地域はやはり東南アジア。よい案件があれば検討してみたい。国内は絶対にないわけではないが、難しいところ。
--傘下の協和発酵キリンの医薬品事業が収益面でたいへん貢献しています。ただ、スタート時は発酵技術・バイオ技術の面で酒類事業と共通性がありましたが、専門化が進み相乗効果が見えにくくなっています。
発酵・バイオ技術の点では、キリンがやっていた医薬事業も、協和発酵キリン(キリン医薬品事業と協和発酵が08年統合)も一緒。協和発酵キリンの今後の課題は、がん治療などに使う抗体医薬を、市場の大きい北米や欧州にどう参入させるかだ。