国内消費の回復は年後半 アジアで一段のM&Aも--三宅占二 キリンホールディングス社長
親会社としてもどんな改善点があるか考え、独自の第三者委員会を立ち上げていろいろご提案をいただいている。メルシャンの件はキリンHDとして直接の法的責任はないものの、業界のリーディングカンパニーを目指す会社として二度と起こしてはならないこと。第三者委員会に提案していただいた留意点を、具体的な施策に落としていこうとしている段階だ。メルシャン1社でなく、グループ全体で取り組んでいる。
--国内では価格競争も厳しい。
人口減少やライフスタイルの変化から、アルコール離れが起き、市場が縮小しているのは事実。ただ、低価格化に合わせるつもりはない。低価格志向に対しては「のどごし〈生〉」という強いブランドがある。
あくまで主力ブランドにしっかり投資し、ブランド価値を上げていく。その具体的な対策は現場にある。店頭で買いやすく、居酒屋でおいしく飲めるという仕掛けを営業の現場で行っていく。商品力と営業力の掛け算でブランド価値は必ず向上する。
市場自体が縮小しても減り方を抑える対策は、まさにメーカーがやらねばならないことで、マーケティングのいちばん大事なところだ。アルコール0・00%の「キリンフリー」が好調なように、新しい需要や潜在化させているお客様のニーズを、顕在化させていく努力が大切だ。
最優先市場は東南アジア さらなるM&Aも検討
--海外で積極的なM&Aを行ってきましたが、今後の成長戦略は。
オーストラリアでは、ビールのライオンネイサンと、乳製品・果汁飲料のナショナルフーズを買収し、両社を統合した。ライオンネイサンのブランドマーケティング力をナショナルフーズに移転していくことで、日本と同じような総合飲料戦略を展開できる基盤が作られつつある。統合効果は、固定費やバックオフィスのコスト削減の面でも期待できる。
--今後、重点的に開拓したい海外市場はどこですか。
当面、最優先するのは東南アジア。昨年、シンガポール清涼飲料大手のフレーザー・アンド・ニーブ社と資本提携し、15%程度を出資した。今後、東南アジア戦略を一緒に進めていくうえで期待している。