ハコスコがいかに安価なVR(バーチャルリアリティ)装置であるかは、前編でお伝えしたとおり。そして、そのことによる影響は「マーケットができること」と、ハコスコの藤井直敬氏は語る。
「今までVRを体験したことがある人はほとんどいない。それが、ハコスコのように安価で配布可能なものを広めることで、VRの市場ができる」
VRは以前から存在し、その可能性に気がついていた人は多かったが、なかなか普及しなかった。その理由は、機器が高価なために体験できる機会が圧倒的に少なかったことだ。その機会をハコスコがまさに日本中に作ろうとしている。
この動きに広告代理店も素早く反応した。12月19日には博報堂がハコスコと共同開発をスタートさせると発表。アクティベーション企画局の中村信氏は次のように話す。
「商品の疑似体験をするためにハコスコのVRを活用できる。低価格で手軽に提供できるから、マーケティングに使う幅が一気に広がる」
考えられる業界は、車、不動産、旅行、エンターテインメントなど、幅広く、ハコスコとVRの普及がさらに加速することも考えられる。今までは写真や動画で見ていたものを、自宅にいながら「体験」できるようになるかもしれない。
思い付いたら形にする
ところで、VRの普及につながるであろうイノベーションは理化学研究所で起きている。場所は日本を代表する先端研究所、研究者もMIT帰りという「エリート指数」の高いイノベーションだったが、実はそのきっかけは“アナログ”な思い付きだった。
「名刺入れにレンズ付けて(視野を遮り)スマホのぞいてみたら、『これいい!』」
その後に段ボールでハコスコのプロトタイプを作成し、今のベースが出来上がったという。基礎となる知識もあっただろうし、論理的に考えた末の帰結だったのかもしれない。それでも、ひらめきを形にしようとする愚直な努力の結果、大きな潮流が生まれようとしていることは確かだ。
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