米国の外交政策は、二組の対立する概念の組み合わせで説明できる。「孤立主義」と「国際主義」、「現実主義」と「理想主義」だ。
「現実主義」とは国際秩序容認の政策であり、「理想主義」は体制転換を求め、米国の民主主義を国際的に普及させることを目指す政策である。戦後の米国の政策は「国際主義」をベースにし、「現実主義」と「理想主義」の間で揺れてきた。
トランプ政権の誕生は、そうした戦後の外交政策の枠組みへの挑戦であった。「米国ファースト」は、孤立主義と現実主義を組み合わせた政策である。
その政策に基づき、政権発足直後から、トランプ政権はNATO(北大西洋条約機構)批判、パリ協定(温暖化対策の国際枠組み)離脱、TPP(環太平洋経済連携協定)脱退、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しなどを相次いで発表し、孤立主義の政策を鮮明にしてきた。
こうした主張はトランプ大統領のイデオローグである「オルトライト」と呼ばれる極右思想を反映したものだ。だが実際に政権を運営してみると、その実行は困難なことが明らかになってきた。そこで、トランプ大統領は政策を緩やかに転換し始めている。
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