北朝鮮のミサイル実験や中国の海洋進出などで、東アジアの地政学リスクが高まっている。中国の台頭に伴い、米中関係にも緊張が生じている。最悪のケースとして米中戦争はありうるのか。歴代の米国防長官の顧問であり、クリントン政権で国防次官補を務めたグレアム・アリソン氏が近未来の国際関係を語る。

米ハーバード大学教授 グレアム・アリソン
Graham T. Allison●ハーバード大学ケネディスクール教授。キューバ危機を分析した『決定の本質』で有名。近著に『米中戦争前夜』。(撮影:田所千代美)
Graham T. Allison●ハーバード大学ケネディスクール教授。キューバ危機を分析した『決定の本質』で有名。近著に『米中戦争前夜』。(撮影:田所千代美)
米国と中国との間で戦争が起こる可能性は、以前より高まっている。理由は北朝鮮だ。
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器の実験を続けるならば、トランプ米大統領は北朝鮮を空爆しようとする。その結果、第2次朝鮮戦争が勃発し、中国、日本も巻き込まれる。最終的には北朝鮮と密接な中国と米国との戦争となる。2018年は朝鮮半島に注目が集まる年といえるだろう。
米中の対立については、古代ギリシャの歴史家トゥキディデスが説いたアテネとスパルタのペロポネソス戦争が参考になる。新興国と覇権国との力関係が崩れた場合に、戦争が起こりやすくなるというものだ。米中はまさに「トゥキディデスのわな」に陥っている。
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