サウジアラビアで1932年の建国後初めてともいえる大改革が進められている。女性の自動車運転解禁や、汚職嫌疑による王族らの一斉拘束がそれだ。
背景には、石油に過度に依存した経済・社会構造からの脱却を急がなければいけない事情がある。
世界的には、石油が枯渇するよりも前にパリ協定に基づき代替エネルギー開発が急ピッチで進み、英仏などは2040年までにディーゼル車やガソリン車の新車販売を禁止する方針を打ち出した。石油収入が歳入の9割近くを占めるサウジは、変化を拒めば国家として立ち行かない。
大改革は、16年に発表された脱石油依存経済を目指す「ビジョン2030」に沿い、父親のサルマン国王に代わって実質的な指導者となった32歳のムハンマド皇太子が陣頭指揮を執る。だが、不安もある。あまりに変化が急激であり、王族らの一斉拘束に見られるように手法が荒っぽいためだ。
外交的にも対外環境は厳しい。15年にサウジ主導で軍事介入したイエメン紛争だが、中東でサウジと覇権を争うイスラム教シーア派の大国イランの息がかかったシーア派の武装勢力フーシ派が反撃。フーシ派がサウジの首都リヤドに向けて弾道ミサイルを発射する事態になった(ミサイルはサウジによって迎撃された)。イエメン国内で軍事衝突は収まらず、多数の難民が発生、人道危機にまで発展した。
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