複雑な問題を抱える学校の教員たち。解決策はあるのか。民間企業出身の校長として学校改革に力を注ぐ藤原和博・奈良市立一条高校校長に聞いた。
──なぜこんなにも教員は忙しいのでしょうか。
まず、学校で起こる問題は社会問題であるということを認識してほしい。社会問題はガードがいちばん弱い子どもたちに表れる。
その中でいちばん根深い問題は、子どもたちが多様化し、家庭も複雑化していることだ。
たとえば軽度発達障害の子が5人いたとする。それぞれ学習障害であったりアスペルガー症候群であったり症状が違うから、十把ひとからげに対応できない。家庭の複雑化についても虐待や離婚が増えていて、保護者が問題を抱えていると、それが子どもに出てくる。
これはもはや教育問題ではない。福祉や医療、警察、教育などを全部つなげて社会的な解決を図る必要がある。もう教員だけで学校の経営はできないんですよ。だから外部の力を借りる必要がある。
それが文部科学省の言う「チーム学校」(学校や教員が心理や福祉などの専門スタッフと連携・分担する体制)という姿だ。それから僕が雛形を作った学校支援地域本部(現在は地域学校協働本部)は全国に広がっていて、先進的なところはコミュニティスクールとして地域社会と教員が学校を共同経営している。大事なのは学校を孤立させないことです。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら