増える授業時間、のしかかる部活動…。「子どものため」と酷使され、過労死ラインを超える残業が常態化する教員たち。もはや改革は待ったなしだ。
過労死ライン超えが続出 教員の異常な勤務実態
中学校教諭の1.7人に1人、小学校教諭の3人に1人が「過労死ライン」(月80時間の残業)を超える長時間労働を強いられている──。
4月末に文部科学省が公表した2016年度の「教員勤務実態調査(速報値)」で、そんな衝撃的な事実が明らかになった。公立学校教員の勤務時間は週38時間45分と定められている。だが過労死ラインに相当する週60時間以上勤務(週20時間以上残業)した教諭は中学校で約6割、小学校で約3割に上る異常事態だ。教諭の1週間当たりの勤務時間は10年前と比べて約4〜5時間増えた。しかもこのデータには自宅に持ち帰った残業は含まれていない。
「休日もまったく休めない」「このまま働き続けると体が壊れてしまう」……。多くの教員から悲痛な声が上がる。
11年6月、大阪府堺市の市立中学校に勤務していた26歳の男性教員が自宅アパートで倒れて亡くなった。死因は虚血性心疾患だ。
男性教員がその学校に赴任したのは10年4月。1年目から担任を任されると、学級通信をほぼ毎週発行するなど熱心に取り組んだ。部活動では経験のないバレーボール部の顧問になった。平日や土日の指導に加え、同部員が記入する個人別のクラブノートに励ましや助言をびっしり記すなど、人格形成にも力を注いだ。
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