AI(人工知能)やIoT時代の到来で半導体が活況だ。2000年のITバブルに迫る勢いで株式市場は熱狂し、新たな覇権争いが世界で巻き起こっている。
Part Ⅰ 激変する産業勢力図 / 東芝メモリに外資が群がる理由
AI時代は半導体で制する
「われわれには時間がある。交渉が長引いても一向に構わない」。
米ウエスタンデジタル(WD)の幹部は4月中旬、東芝のメインバンクの幹部を前にそう言ってのけた。東芝が進めている半導体子会社・東芝メモリの売却交渉。『混迷する東芝メモリ売却』で詳報しているとおり、合弁相手のWDが独占交渉権を求めている。5月15日には国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立てた。東芝が求める2兆円を数千億円下回る額で買収したい。これがWDの本音だ。
東芝は2018年3月末までに売却手続きを完了し、売却利益によって債務超過を解消しなければ上場廃止になる見通し。冒頭の言葉は来日したWD幹部に、銀行が事態膠着の打開を求めて持ちかけた対話の場でのもの。焦る東芝サイドの足元を見ているのだが、実はWDの時間も有限だ。
東芝メモリが製造するNANDフラッシュメモリは、スマートフォンなどに搭載される記録用の半導体だ。ハードディスク(HDD)と比べ振動や衝撃に強く、データの読み書き速度や消費電力でも優れる。これが今、データセンターのサーバーやストレージ(記憶装置)需要で急伸している。スマホで撮った動画や写真を保存する人が増えたことや、グーグル、アマゾン、フェイスブックといった米国のITガリバーが大量のデータを必要とするAI(人工知能)技術の本格導入を進めていることが背景にある。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら