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中国の半導体育成は本気だ 国を挙げて基幹産業に

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東芝メモリ売却の1次入札が締め切られた3月末。ある声明文が、半導体業界で静かな話題となった。「当社が東芝メモリの入札に参加したとする一部の報道は、事実に基づかない流言だ。入札には当社はいっさい関与していない」。

発表したのは中国のハイテク企業グループ、紫光集団。理系の名門・清華大学系の国有企業だ。2015年にメモリメーカーの米マイクロン・テクノロジーに、16年には東芝メモリの合弁相手であるハードディスクメーカー、米ウエスタンデジタルに買収提案を行った。

紫光は東芝メモリでも早期から東芝の銀行団に接触。また、1次入札が締め切られる直前に、中国の国策銀行・国家開発銀行と、半導体の政策ファンド・華芯投資管理から合計1500億元(約2.41兆円)の投融資枠を獲得した。これは東芝が希望する「売却額2兆円以上」に見合う金額だ。時期的に考えても、東芝メモリ買収への備えを進めていたと考えてよいだろう。

だが実際には「紫光が買える余地はまったくない」(日本のメガバンク関係者)。安全保障にかかわる技術流出を懸念した日本政府が、東芝メモリの外資買収には外為法に基づく審査を行う方針を示唆していたからだ。米国での15年と16年の2案件も、米国政府が難色を示したことなどにより実現しなかった。

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