とやま・かずひこ●1960年生まれ。85年東京大学法学部卒、92年米スタンフォード大学経営学修士。パナソニック、オムロン、ぴあの社外取締役。経済同友会副代表幹事。
半導体のように競争のダイナミズムが激しく、企業の存亡を決定する意思決定の節目が頻繁にある産業は、コングロマリット企業では経営できない。米インテルのアンディ・グローブ氏がそうだったように、専業企業で強烈なリーダーシップがなければダメだ。だからインテルはDRAMから撤退し、CPUで勝てたのだ。
そもそもマネジメントの仕事とは意思決定に尽きる。しかるべき時に決めるべきことを決める。あとは決定したことの実効性を担保できる程度のほどほどの人望があればよい。ところが日本の半導体はすべて、電機大手の一事業部門だった。これが問題の根源だ。組織に階層が多く、意思決定がコンセンサス方式。消極的な拒否権はみんなにあるが、積極的な決定権は誰にもないという状態だ。その結果、重要な局面でことごとく意思決定のタイミングを逃してきた。半導体を筆頭に、日本企業の敗因は要するにこれだ。
特に東芝は、半導体と原子力を同じ会社でやっていた。これは完全に経営判断上のミス。何の事業シナジーもないうえ、両方ともめちゃくちゃボラティリティが高く、おカネがいる産業。この二つに集中するというのは狂気のさただった。
例外はエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)。坂本幸雄氏という優れた経営者がいた。問題は、おカネの貸手が経営を左右するデット(負債)ガバナンスだったこと。エクイティ(資本)性の資金が供給されていればエルピーダは生き残り、さらに成長していた。
中立的な投資家への売却がベストだ
僕は基本的には市場原理主義者だが、半導体については市場原理で片付けてはいけないと考えている。
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