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脳科学でわかった、記憶の司令塔「海馬」 複雑な脳の仕組みとその活用法を徹底追求

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人類にとって未知の領域であるのがヒトの脳である。ところが近年、脳科学の進歩によってその仕組みが解明されつつある。脳の仕組みとその活用、そして脳の病気について探求してみよう。

(本誌:前田佳子、真城愛弓、長谷川 隆)

▶▶PART 1 脳複雑な仕組みとその活用法

脳科学はここまで進んだ!
記憶の司令塔 海馬を解明する

[ポイント1]
短期記憶、長期記憶など種類により形成・維持される場所が異なる。海馬の場所細胞(ニューロン)が発火して空間を把握している。

[ポイント2]
睡眠中もニューロンは発火するため、記憶定着に睡眠が重要。ニューロンには記憶痕跡があり記憶が形成されることが最近わかった。

 

藤澤茂義 理化学研究所
ふじさわ・しげよし●脳科学総合研究センター・システム神経生理学研究チームリーダー。1977年生まれ。京大工卒、東大大学院薬学研究科修了。(撮影:風間仁一郎)

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脳にさほど詳しくない方でも、その内部は大脳や小脳、脳幹などに分かれていることは、何となくご存じでしょう。このうち小脳は、姿勢の維持など体全体のバランスを整える役割を担います。また脳幹は視床や視床下部、延髄などから成り、自律神経系の制御や呼吸、血管の収縮と拡張など、基本的な生命活動をつかさどっています。

高等動物になるほど、発達しているのが大脳です。人間の大脳の表面は厚さ3mmほどの大脳皮質で覆われており、さらに大脳皮質のうち、大脳新皮質が認知、思考、判断といった高度な知的活動を支えています。一方、大脳のより内側にある大脳辺縁系(海馬、扁桃体などで構成される)は、本能や情動、意欲などにかかわっています。

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