脳のメカニズムを解明する脳科学の研究が急速に進んでいる。神経科学や薬理学の研究者である池谷裕二氏に、人工知能が脳研究にどのように生かされるのかを聞いた。

いけがや・ゆうじ●1970年生まれ。東大薬学部、同大学院修了。2014年から薬学部教授。一流の科学専門誌に多数の論文を発表。著書に『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』など。(撮影:今井康一)
──最近の脳科学やその応用分野では、どのような研究が注目を集めていますか。
いくつかありますが、一つはBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の実用化でしょう。これまでBMIは、脊髄が損傷して手足が動かなくなるなど、運動機能に障害のある人を想定して開発されてきた。ある人が運動したいと思ったとき、脳内から発せられた電気信号をキャッチすることで、義手や義足、車いすなどを意図どおりに動かそうとする技術でした。
しかし最近の研究では、BMIで機器を動かすのではなく、その人の手足の筋肉を直接動かす研究が行われている。全身不随や半身不随の場合、脳や筋肉は正常なのに、脳と筋肉をつなぐ脊髄がダメージを受けて動かせなくなっている。ならば脳が出力した信号をコンピュータが解析し、脊髄を介さずに足や腕の筋肉へ直接送れば動くようになるというものです。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
連載一覧
連載一覧はこちら
ログインはこちら