ある日突然、働き盛りを襲う脳卒中。後遺症が重ければ、その後の人生は大きく狂ってしまう。やむなく会社を辞める人、復職しても病気前のペースで働けなくなる人は多い。脳卒中を経て社会復帰に奮闘する3人の壮絶な体験談は、決してひとごとではない。
「右脳がやられた」
2013年6月、長坂祐司さんは頭の右側に激しい痛みを感じた。脳梗塞だった。
命に別状はなかったが、後遺症として重度の左半身マヒが残った。税理士として多忙な生活を送っていた長坂さんは、重度の1級身体障害者になってしまった。感覚はあるが、左半身がまったく動かない。
1カ月後にリハビリの病院へ移っても絶望しかなかった。53歳で国税局を早期退職し、開業から1年余り。収入が断たれてしまった。
しかし不安そうな家族の顔を見ているうちに、幸せになるために再起したいという気持ちが湧き上がってきた。そこからのリハビリは闘いだった。運動機能を完全に失った左半身を持て余し、立つことさえかなわない。ようやく歩行訓練に移ると、次は転倒の恐怖が待ち受けていた。
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