IoTやAIの発達で現実世界はSFに近づいたのだろうか。
ネットワーク化が進み、AIロボットが活躍する近未来を描くテレビアニメ『攻殻機動隊S.A.C.』の監督を務めた神山健治氏に聞いた。
作品を手掛けた2002年当時は「電脳化」がキーワードだった。攻殻機動隊の舞台となる30年代の世界を描くうえで、携帯電話が頭に埋まっていて、端末を持たずに会話やデータ通信ができるとしたらどうだろうというコンセプトで作品を作り始めたのが懐かしい。
この間、スマートフォンができ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や動画サイトが登場して、一般の人たちの声が瞬時に集まり総意というものが形成されるようになった。皆、SNS上の発言を見ながら自分の指針を決めていく。以前はメディアが一方的に情報を送っていたし、攻殻機動隊もその前提で作っていた。この価値観の変化は想像以上に速い。
それに比べるとテクノロジーの進化は遅いくらい。作品では義体(サイボーグ)に自分の脳神経をつなげば物理移動ができる世界を描いたが、義体はまだできてない。
脳がネットワークにつながるのにも程遠い状況だ。VR(仮想現実)は移動せずに移動する感覚を獲得できる手段になるかもしれないが、まだ体感じゃなく体験レベルのものも多い。
時速150㌔の球を打つバッターを後ろから見るようなVRではなく、投げたときの感覚がわかるようなものじゃないと。そういう神経的なところまで入り込めば、身体拡張が起きる。肉体が変わると脳も変わる。世界も大きく変わるだろう。
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