歴史上最大のデジタル革命といわれるIoTは個人の生活や産業の構図を大きく変える。われわれはこの波とどう向き合うべきか。夢と脅威、金脈、人脈すべてに迫る。
高層ビルが立ち並ぶ中をエアカーが飛び交う。人間のよき理解者として、ロボットが人間と共存する──。1952年にマンガの連載が始まった『鉄腕アトム』では、そんな世界が描かれている。
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(アイオーティー)」は、アトムの世界を現実にしようとしている。
IoTはモノに内蔵されたセンサーを通じ、情報収集することから始まる。アトムやたとえば「ドラえもん」のようなロボットも、スマートフォンなどと並ぶモノの一つに当てはまる。集められた情報はクラウド(仮想サーバー)上にデータとして蓄積され、ビッグデータに変化。人工知能(AI)がそれを解析し、モノにフィードバックする。こうした流れを繰り返し、モノがどんどん賢くなっていく(スマート化)という概念がIoTだ。つまりIoTはビッグデータ、AIと「三位一体」の関係にある。
不発だったユビキタス IoTとの大きな違い
IoTの概念自体は新しいものではない。2004年に総務省が公表した「u-Japan政策」では、IoTの前身ともいえる「ユビキタスネットワーク社会」の構想がうたわれていた。ユビキタスはどこにでもある「遍在」という意味で、同政策は「10年にいつでも、どこでも、何でも、誰でもネットワークに簡単につながるユビキタスネット社会を実現する」としていた。帰宅するといつの間にか冷暖房が入っている。風呂も沸いている。そうしたユビキタスの未来図が政府を中心に盛んに宣伝された。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら