歴史研究は、史料の解釈が変わることや新資料の発見によって日々進化している。人気歴史講師が最新教科書の内容を伝授する。
歴史教科書は、昔も今も大差ないと思っていませんか。何しろ歴史的事件そのものが1000年も昔のこと。20年や30年で記述が変わるとは考えられない?いや、違うのです。結構、変わっているところがあるのです。
もちろん日本史の骨格は同じままです。ただし、史料(文書)の解釈が変わったり、新資料の発見があったりして、昔、習ったことがすべて正しいというわけではありません。歴史学は古いことを勉強する学問ですが、毎年のように新たな発見があり、リニューアルされ続けるのです。そこが歴史学の面白さ。
現役の中高生に「鎌倉幕府はね……」と講釈すると、「それ違います!」と突っ込みが入るかもしれません。今の歴史教科書には発見がいっぱい。新しい日本史ワールドを紹介します。


富本銭(左、提供:奈良文化財研究所)の発見で教科書が書き換えられた。和同開珎(右、提供:日本銀行貨幣博物館)に比べると、流通量は少なかったとみられる
17年前の新発見で富本銭が最古に
和同開珎(わどうかいちん)が「日本最古の銭貨」と習った方も多いのではないでしょうか。今は違います。現時点の「日本最古の銭貨」は富本銭(ふほんせん)で、和同開珎は「最古の本朝十二銭」です。
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