外国人に日本の歴史や文化を説明するとき、頼りになるのが『日本―その姿と心―』だ。地理、歴史から政治、経済、社会、科学技術、文化までを網羅し、日本文と英文が併記されている。たとえば「切腹」の項目では、なぜ自害するのに腹を切るのかの説明もあり、日本文を読むだけでもためになる。
1982年の初版から10版を重ね、累計100万部の隠れたロングセラーだ。大手商社、自動車メーカーなど企業の社員教育、米国大使館、在日米軍でも使われているという。
実はこの本は新日本製鉄(現在の新日鉄住金)の社員のニーズから生まれた。技術指導などで海外に行くと、現地の人から日本について質問される。ところが、英語で答えられないばかりか、自国の歴史や文化を知らないために、日本語でも答えられないことに気づいた。
そこで40年ほど前から、よく聞かれる項目を若手社員が持ち寄り、まとめていた。それを本社人事部能力開発室が中心となって冊子にしたところ、評判となって出版された。
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