日本列島はそんなに狭くはない。でも山がち。しかも少ない平地は散らばっている。平地相互の連絡は大変だ。野越え、山越え、谷越えて。こんな国はまとめにくい。中央集権化してもすぐ崩れる。めいめいが勝手をしがち。分権化してしまう。奈良時代から平安時代へ。鎌倉時代から南北朝時代へ。室町時代から戦国時代へ。豊臣時代から徳川時代へ。どれも集権から分権ないし群雄割拠へのプロセスととらえられる。
そこに絡むのが日本列島の宿痾(しゅくあ)、物不足だ。平地が少ないとは農業生産に限界があるということ。中央集権にし、国力を一本に束ね、富が全体を巡って、皆が満足するということが起きにくい。古代から近代まで、この国の農業生産力は人々を満腹にできなかった。集権体制の下、中央政府に農産品を物納しても、見返りが乏しいなら、分権的なほうがいい。自分のものは自分のもの。足りないものは略奪する。武士という武装集団が他国に類例を見つけにくいほど独自な発達をし、暴力的に相争う時代が長いのはそのせいだろう。
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