日本の人口は2008年をピークに減少局面に転じた。明治以来、もっぱら膨張する人口への対策に追われてきたので、人口減少に直面し、なすすべもなく立ちすくむのも仕方がないことかもしれない。しかし人口減少は決して未曾有の出来事ではない。過去に何度も起きており、そしてそのような時期は歴史上の転換点として重要な時代だったことを知っておく必要がある。
日本の人口は縄文時代以来、4回の増加期とそれに続く停滞期を繰り返してきた(図1)。1度目の停滞期は縄文時代後半である。2度目は平安時代後半から鎌倉時代にかけて。3度目は18世紀初頭、8代将軍吉宗の時代から1世紀以上に及んだ江戸時代後半である。そして今だ。
人口問題を考えるうえでまず理解してもらいたいのは、人口が増加の後に減退するのは「歴史の必然である」ということだ。『人口論』で知られる経済学者ロバート・マルサスが指摘したように、食糧生産量などの条件が一定であるかぎり、人口増加は永遠に続くものではなく、いずれ停止するという原理が働く。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら