画期的新薬が使えない、難病患者の知られざる苦悩

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 同調査によれば、高額療養費制度の自己負担限度額については「大変高額である」が56%、「やや高額である」が33%に達した一方、限度額については「引き下げてほしい/引き下げが望ましい」が89%に上った。月々の支払い可能額では、「1万円」が最多となった。自己負担限度額が多くの患者の経済力からかけ離れている事実を裏付ける。

欧州諸国では、長期の治療が必要な難病患者の医療費は免除、または大幅に軽減されている(下表)。その一方で公的医療保険の保険料率や付加価値税の税率は高い。つまり国民全体で医療費を分かち合う一方、病気になった場合に自己負担が家計を圧迫しない仕組みになっている。これに対して日本では、患者の通常の自己負担(小学生から69歳まで)が「3割」と高いうえ、自己負担限度額の水準も高い。

加えて“制度の谷間”が至る所にある。たとえば血液の病気は、障害者手帳交付の対象になっていない。そのため、障害者自立支援法に基づく、原則1割負担の「自立支援医療」を受けることができない。「経済的に厳しいPNH患者がソリリスによる治療を受けるには、(別の制度である)障害年金を受給して医療費の支払いに充てる方法しかないのが実情だ」(障害年金を専門とする河陽輝・特定社会保険労務士)。とはいえ、障害年金のハードルは高い。

山口さんは、河氏のアドバイスを受けて障害年金の申請をした。しかし、年金事務センターから来たのは、「不支給」の通知。「同じような状態でも支給決定が出ている人がいることから、障害年金の認定医の判断にバラツキが生じている」(河氏)。

山口さんは直ちに審査請求(不服申し立て)を行い、現在、審査結果を待っている。ただ認められたとしても、新薬の投与で病状が改善した場合、再び認定基準を満たさなくなるおそれもあるという。

難病指定された病気でも思いがけぬ問題が生じている。

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