あのときと同じなのか、それとも今回は違うのか──。米国のあるファンドの破綻をめぐり市場関係者の間で議論が分かれている。関係者が連想する「あのとき」とは、リーマンショックの1年前に起き、その後の危機の発端となったパリバショックだ。これがもし危機の前兆なら、日本の個人投資家にとっても対岸の火事ではすまない。
2015年12月10日、米投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下のファンドが、解約受け付けを停止し清算手続きに入ることが明らかとなった。投資家からの解約請求が増え、それに対応するための現金を捻出できなくなったのだ。投資家は損失が出る可能性が高い。
同ファンドは直近の純資産が約7.9億ドル(約940億円)と比較的小さい規模に類する。だが、低い格付けの社債を中心に運用していたことから注目を集めることになった。
低格付けで信用力が低い反面、高い利回りを期待できる債券(ハイイールド債)には近年、多額の投資マネーが流れ込んだ。米国のゼロ金利政策などにより金利が全般的に低下する中、投資家が少しでも高い利回りを求めた結果といえる。
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