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日経平均レバETFの功罪 値動き2倍で個人に一躍人気

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イラスト:小迎裕美子

株式市場で一目置かれる存在のETF(上場投資信託)がある。野村アセットマネジメントが運用管理する「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」だ。同商品は、連動対象とする指数の変動より大きな値動きとなる「レバレッジ型」のETFで、2012年4月に東京証券取引所に上場した。複数ある「日経レバETF」型商品を代表しており、15年の累計売買代金ではトヨタ自動車株をも上回った。純資産の急拡大を受け、申し込みを同年10月に一時停止したほどだ。純資産額は直近で6600億円を超え、レバレッジ型で世界最大のETFとなっている。

野村の日経レバETFは日々の騰落率が日経平均株価の騰落率のほぼ2倍となる仕組みだ。日経平均が2%上がったら、同ETFは4%上昇することになる。個人投資家の間で人気が広まったのは、この仕組みが受けたからとされている。

人気が加速したのは15年8月24日の株価急落時(図)。野村証券グローバル・マーケッツ本部の塩田誠ETFマーケティング・グループ長の解説によると、「このとき2種類の投資家が資金を投じた」という。

[図]
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急落以降、日経平均は日中の値動きが荒い展開がしばらく続いた。9月には1日で1000円超動いた日もある。この変動の大きさを見て、信用取引を使った短期トレードで利益を狙う投資家たちが現れた。信用取引は、担保を差し入れることで資金や株式を借りて売買する。担保となるおカネの約3.3倍の取引までできるため、日経レバETFに投資すると合計で日経平均の6倍の利益を狙うことが可能となる。

短期投資家に加え、日経レバETFへの投資により、逆張りで株価が下がった後のリバウンドを数カ月単位の中期で狙う投資家たちの買いも入った。「短期と中期の投資家の割合は2対8のイメージ」(塩田氏)だという。

市場の攪乱要因か買い支え役か

こうした種類のETF投資家が市場で存在感を増す一方、市場へ与える影響については評価が分かれる。市場の攪乱要因とする「悪玉論」に立った見方もある。

その理由はこうだ。日経レバETFは日経平均先物を売買することによって日経平均に連動しており、資産規模が大きくなったことで先物市場での売買規模も拡大している。しかしこれは日経平均先物、ひいては日経平均の価格形成に歪みをもたらしている──というものだ。

実際、野村が10月に申し込みを一時停止したのは「日経レバETFによる売買量を、先物市場の売買量などと比較して適正と判断できる水準に合わせるため」(野村アセット商品企画部の花畑智久シニア・マネージャー)だった。野村はその後、解約などで純資産額が減り適正な運用規模になったタイミングで申し込みを再開している。

ただ、8月のように日経平均の下落局面では逆張り投資家が日経レバETFに買いを入れてくる。これは先物の買いとして表れるため、株価の買い支え役だとの「善玉論」も聞かれる。

よくも悪くも一挙手一投足が注目される日経レバETF。「上場時は1000億円規模に育ってくれたら十分と思っていた」(塩田氏)という野村関係者にとってはぜいたくな悩みかもしれないが、個人は慎重に向き合う必要がありそうだ。

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