大都市は途上国モデル、人口減、高齢化が直撃--『人口減少時代の大都市経済』を書いた松谷明彦氏(政策研究大学院大学教授)に聞く

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 借り物の技術とすれば、日本の技術にはアドバンテージがない。ロボットを造る技術は優れているかもしれないが、ロボットは買えばいい。ロボットをいくら精緻に造っても、そのロボットを使えば、同じ製品が同じようにできてくる。ここでも日本にはアドバンテージはない。しかも、それらはすでに途上国にキャッチアップされた。

──人口減少、高齢化が深化したらどうなりますか。

スケールメリットを狙い量産効果で価格を下げているだけに、厳しい。それが使えなくなる。労働者の数が減り、あと10年もしないうちに毎年毎年生産できる量さえ減っていく。国内総生産が縮小していくということになれば、価格には逆に働いて、値上がりすることになる。同時に、高齢化は全体の作業能率も低下させる。生産の拡大が難しくなれば、頼みの価格競争力は低下する。従来の機械化経済モデルそのものが、人口減少で機能しなくなる。

──大都市の財政は?

財政的には、税金を払う人が減るのだから、歳出を減らさないかぎり、中長期的な課題の解決はできない。その傾向は大都市に先鋭的に現れる。これからの大都市の高齢化スピードは速い。つまり大都市のほうが納税者の割合の減り方が激しい。人口増加を前提にした行・財政モデルは完全にパンクして、下手をすればすごい勢いで大都市崩壊に向かっていくことになる。

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