グローバルヒストリーの波が欧米を席巻し、世界史を一気に面白くしている。
従来の「世界史」がもっぱら人類の歴史であったのに対し、グローバルヒストリーは、その名のとおりグローブ(地球)全体の歴史である。世界史では、戦争や国家体制など、政治や経済が主役であった。しかし、グローバルヒストリーでは、気候変動や植生、土地利用、自然災害などの環境問題、病気、身体、寿命、生活水準などの人間にまつわるテーマも、地球と人類とが一体のものであるからこそ対象となる。世界史の視野が一気に広がったのである。
グローバルヒストリーはまた、領域の絶対性を掲げて17~18世紀の欧州からスタートし、ついには地球全体を覆う形で進んできた国民国家システムの歩みが大きく揺らぐという現実が生み出したものでもある。
尖閣列島の所有権をめぐる争いやロシアによるクリミア併合などの動きは、相変わらずの国家領域の絶対性を象徴する。しかし、その一方で、「イスラム国(IS)」やEU(欧州連合)など国家領域を超越した動きや、エスニック問題など国民国家を分断する動きもすさまじい。近代国民国家システムにより世界が覆われるプロセスが終了しようとした時点で、システムを破壊しようとする動きが渦を巻き起こしているのである。
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