外国人に対し、日本人の宗教文化や宗教生活を説明する機会が増えることが予想される。日本人の宗教とのかかわりについて正確な理解に努めたい。
世論調査では、「自分は信仰を持つ」と回答する割合は、1980年代以後、おおむね2~3割で推移している。この数値をとらえて、日本人は無宗教という言い方をよく目にする。しかしこれは二重の意味で不正確である。一つは、信仰を持つと答える人の割合は確かにイスラーム圏や米国などに比べれば低いが、欧州諸国と比べるとそう大きな違いはない点だ。
また、多くの日本人は人生儀礼や年中行事に際して宗教施設を訪れている。人生儀礼とは、初宮詣で(初宮参り、誕生後に初めて神社に参ること)、七五三、成人式、結婚式、葬式などである。年中行事とは、初詣で、節分、彼岸、大祓(おおはらえ)(けがれを祓い清めること)などである。初詣で、七五三、仏式の葬式などは、外国人の目からすれば宗教儀礼に含まれる。
宗教より共同体
日本人で、宗教行事や儀礼への参加を理由に職場や地域の会合を断るという人はごく一部である。
だがキリスト教徒の多い国であれば、日曜日は礼拝の日であるから、会合はなるべく避けようとする。ムスリム(イスラム教徒)は金曜日にモスクで集団礼拝をするので金曜は特別な日になる。
大抵の日本人は、宗教よりも地域共同体や職場のつながりを大事にすべきと考えている。これは善しあしの問題ではない。それぞれが生まれ育つ中で受け入れてしまっている考え方や行動のパターンである。
シンクレティズム
シンクレティズム(習合信仰、重層信仰)というのは、神道と仏教が混じり合ったような信仰形態、また家に神棚と仏壇の双方を置いているような信仰の形態を指している。
キリスト教圏やイスラーム圏などの人は、やや理解しがたく感じることもあるようだ。これらの宗教においては、生まれてから死ぬまで一つの宗教だけにかかわるのが標準型だからである。
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