米国はしばしば、人類史における「実験国家」と称される。そこには大きく二つの意味がある。まず一つは、史上初の共和制の大国であるという点だ。
独立戦争(1775~83年)によってイギリス帝国の支配から自由になった13の植民地は大きな決断を迫られた。すなわち各植民地(後の州)が自主統治を行うか、それとも中央政府を作り統治を委ねるかである。前者の場合、通商や軍事の面で英国やフランスなど欧州の列強との交渉は著しく不利になる。片や後者の場合、中央政府がいつの間にか強大化し、英国の専制君主のように自分たちを弾圧・搾取し始めるかもしれない。それでは何のために独立したのかわからない。
独立宣言や合衆国憲法の作成に深く関与した建国の父祖たちが導き出した解決策は、中央政府(連邦政府)を作ることで国家としてのスケールメリットは生かしつつ、その権力を厳しく制限することだった。
権力の腐敗や暴走を防ぐための工夫は主として3点あった。
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