「イスラーム」というと、読者はどんなイメージを思い浮かべるだろうか。アラブにある後進地域と考えるなら、それは間違いだ。先進地域で世界史の主役を演じ、現在も世界中にムスリム(イスラーム教徒)は広がっている。それが正しい姿である。
オアシス都市で生まれギリシャ文化も継承
日本人は近現代になって初めてイスラームと出合ったため、西欧の植民地化後のイスラームしか知らない。そのため、テロが多く、遅れた地域という印象を持っている。
だが実際は、イスラーム誕生・生成の地である中東や地中海は世界の最先端地域だった。古代四大文明のうち、メソポタミア(現在のイラク周辺)とエジプトはここに含まれる。イスラームはメッカで生まれ、メディナで開花するが、どちらもオアシス都市で砂漠の中にはない。商業の民が栄えていた地域だ。
イスラームは誕生後1世紀以内に東はペルシャを滅ぼし、西は東ローマ帝国から領土を簒奪した。この二つはどちらも当時の文明の担い手で、ここから文化的伝統を大きく受け継いだ。この時期、ほかに最先進国はどこにあったかといえば、中国とインドであり、これに比して、当時の欧州は田舎といっていいだろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら