日本における最近の異常な金利低下は、物価上昇率の低下だけでは説明がつかない。
1990年以降、先進諸国では長期にわたって金利の低下が続いている。
これを見て、資本主義が限界を迎えたという指摘もある。しかし、名目金利の低下傾向を見ているだけでは、資本主義がどうなるかを議論することはできない。実質金利や資本収益率なども見て、もっと精緻に分析する必要がある。
元米財務長官のローレンス・サマーズ氏は2013年末、自然利子率が低下したという仮説を提唱し、「長期停滞論」を説いた。
自然利子率とは1人当たり消費を最大化する利子率であり、一定の条件の下で潜在成長率と等しくなる。サマーズ氏は自然利子率が低下したために、金融緩和がもはや実体経済に影響を与えることができなくなっていると指摘した。
しかし、資本収益率(総資産に対する営業利益の比率)に着目すると、米国の製造業では低下していない。
資本収益率の低下が著しいのは、日本の製造業である(図表1、2)。自然利子率の低下や金融政策の有効性の低下は、米国におけるよりは、日本において重要な問題なのである。
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