成長しても格差は拡大する――ピケティ氏は成長と格差の隠れた因果を見破った。だが、ミクロの解決策は示していない。どうしたら格差の渦にのみ込まれないで済むのか。その術を徹底的に追う。
フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授は『21世紀の資本』の中で、経済成長しても格差は縮小するどころか拡大することを示した。これは、「経済成長につれて中間層が増え、格差は縮小する」とする40年以上前のサイモン・クズネッツ氏の発見(クズネッツ曲線)を覆す快挙。ピケティ氏の理論が新しい経済学の誕生といわれるゆえんだ。
資本収益率rは経済成長率gをつねに上回る。それをピケティ氏は3世紀にわたる20カ国以上のデータで示した。今や世界的に有名になったピケティ氏の不等式「r>g」だ。
従業員の年収はせいぜい経済成長率のg並みにしか伸びない。一方で株・不動産への投資は、ならしてみると資本収益率のrだけ伸びる。すると汗水たらして働くよりも、不労所得で生きているほうが富の蓄積は速い。だから中間層と富裕層の格差は拡大する。
ピケティ氏らは豊富なデータをネット上に惜しみなく公開している。だから自国の格差の姿を知りたければ誰でも簡単に確かめられる。
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