1980年代の終わり頃までは、日本経済はまだ成長し、人口も増えていたし、社会保障制度も財政も今ほどの危機的状況にはなかった。だから将来のことを自分で考えなくてもよかった。国や会社に任せておけば、何とかうまく人生が過ごせた。
どのくらいの偏差値の大学をどのくらいの成績で卒業するかで就職先が決まっていた。入社した会社できちんと仕事をしていれば、年功序列で昇進していき、定年退職を無事迎えられた。退職後も会社が「趣味の会」などのお楽しみを提供してくれ、葬儀のときは、それなりの人から弔電が来る。
将来の心配などあまりしなくてよかったから、将来の自分を支えるための資産運用などほとんど考える必要がなかった。そんな時代が長かったので、投資といえば「買った」「売った」の株式投機しか頭に浮かばないのは当然すぎるほど当然だった。
ところが今日、状況は大きく変わっている。普通の生活者が将来への漠然とした不安を持ち始めている。この2年くらいは株式市場もよくなってきているので「投資というものを考えなくてはいけないのでは」と思い始める人が増えている。
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