富の不平等はトマ・ピケティ氏だけでなく、これまで無数の僧侶や政治家、哲学者などが何世紀にもわたり議論してきたテーマだ。だが誰も根本的な解決策を見いだせていない。ピケティ氏も同様だ。
ピケティ氏は、資本主義は格差を生む宿命にあると指摘した。確かに資本主義には問題もある。だが、ほかの体制に比べればましな制度だ。中国で毛沢東が、旧ソ連でレーニンが社会の不平等を解消しようとした時代よりも、(資本主義を受け入れた)最近の30年のほうが、中国やロシアの生活水準は向上している。
ピケティ氏の提唱する「グローバルな資産課税」はうまくいかないだろう。現実には富裕層への課税に反対し、実施しない国が必ず出てくるからだ。富裕層はこぞってその国に移住し、課税した国が衰退するのが落ちだ。
これは歴史が証明している。2012年には仏オランド大統領が税率75%の富裕税を導入しようとして大失敗した。富裕層が反発し、ロシアなどに脱出する事態を招いた。米国内でもニューヨーク州で11年、富裕層に高額の税をかけたところ、州の人口や富が大量にほかの州へと流出してしまった。
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