格差は今や世界的な現象だ。フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』の中で暴き出したのは、米国のごく一部の富裕層(上位1%層)が全体の国富の20%を占めるほどになったという現実だ。
ピケティ氏は資本収益率(r)がつねに経済成長率(g)を上回るという歴史的な関係性「r>g」を見つけ出し、このまま所得再分配策を講じなければ、「株や土地などの資本を持つ者と持たざる者との差がこれまで以上に開いてしまう」と警鐘を鳴らした。
一方そうした“格差先進国”米国に比べて平等が保たれているといわれる日本。先月末、国会で経済格差への問題意識を尋ねられた安倍晋三首相は「これまでの日本の格差は顕著に拡大していない」と反論した。
しかし、本当にそうだろうか。ピケティ氏は研究仲間らと収集した膨大な所得データをネット上で公開している。そのデータをつぶさに眺めてみると、米国とはまた別の、重大な問題が浮かび上がってくる。
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