「マッサンvs.角瓶」 国産ウイスキーの激戦 スーパー、コンビニ・・・お酒売り場最前線

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ここまで国産ウイスキーの話をしてきましたが、輸入物もハイボールブームや国産ウイスキーブームの恩恵を受け活性化しつつあります。

輸入物にも波及!大手ビール3社の洋酒戦略

常日頃からビール類で鎬を削るアサヒ、キリン、サントリーの各社はそれぞれ、メジャーな洋酒ブランドをいくつか取り扱っています。アサヒビールは「ジャックダニエル」「アーリータイムズ」など、サントリーは「ジムビーム」「メーカーズマーク」など、キリンビールは「ホワイトホース」「フォアローゼス」「ジョニーウォーカー」(グループ企業の扱い含む)などのブランドが挙げられます。

「角瓶」や「ブラックニッカ」のハイボールでウイスキーに興味を持った人が、「山崎」や「竹鶴」「富士山麓」などに手を出し、そして本格的な輸入物へ……。とはいえハイボールから入ったウイスキー初心者にとっては種類が多く、価格帯も広いため選びにくさを感じるのも事実です。

キリンビールでは2012年春よりウイスキーの売り場提案「ディスカバリーウイスキー」を実施しています。これは国産品や輸入品という単純な括りではなく、縦軸を価格帯による「飲用シーン」、横軸を「味覚」にすることで商品を選びやすくしたもので、1000店を超える店舗で導入されています。

ウイスキーは産地や原料、製法の違いによって風味のバリエーションが豊かなことが特徴のひとつです。スーパーの売り場ではトライアルしやすいよう、各メーカーがフルサイズだけでなく、ハーフサイズや200mlの小容量ボトルなども積極的に導入し、ウイスキーの裾野を広げていきたい考えです。

手軽に楽しむハイボールもいいですが元来、男性はストーリーや薀蓄のある商品に興味があるもの。

ウイスキーなどの洋酒は小売業にとっても薄利多売なビール類に比べ単価や粗利も高く、炭酸水や氷など関連商品も動くことからおいしい商品でもあります。ハイボールブームや「マッサン」人気によってユーザーが拡大し、更なる成長が見込める洋酒カテゴリー。売り場での存在感はますます高まりそうです。

石山 真紀 フリーライター・売り場研究家

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いしやま まき / Ishiyama Maki

法政大学卒業後、食品企業で販売の現場に携わる。その後、流通コンサルタント企業へ転身。結婚による退職後、物流業界新聞社、流通業界雑誌社を経て、2008年よりフリー。現在は流通専門誌や弦楽器専門誌などでも取材・執筆・編集に携わるほか、売り場づくりやマーチャンダイジングの研究も行っている。
 

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