昨年7月に、連邦破産法9条の適用を申請したミシガン州デトロイト市。負債総額約1兆8000億円と、自治体による破綻としては、米国史上最大の規模を記録した。自動車業界の黄金期には200万人近くまで伸びた人口は、今では70万人。さらに治安の悪さや失業率の高さなど、これまで後ろ向きなことばかりが取りざたされてきた。だが今、デトロイトの「復活劇」が注目を浴びている。契機となったのは、起業ブームだ。現状を確かめるべく、現地に飛んだ。
デトロイト・メトロポリタン空港から高速道路で車を30分も走らせれば、デトロイト市内に入る。ぽつぽつと目に飛び込んでくる廃墟と化したビルや家屋が、この街が景気の低迷から被った傷の深さを物語る。ところが街の中心へと進んでいくと、徐々に様子が変わってくる。いまだに人けのない建物は多いが、同時に至る所で建設現場や道路が修復される様子を目にするのだ。
デトロイトの復活劇の震源地と目されるのは、ダウンタウンにある5階建てのマディソン・ビルディングだ。カレンダーアプリのアップトゥ、家庭用遠隔操作システムのアイルールなど、数多くのスタートアップが居を構える。企業誘致に熱心なベンチャーキャピタル、デトロイト・ベンチャー・パートナーズ(DVP)のバイスプレジデント、ジャレッド・スタシックさんは「今ダウンタウンを歩いていて、建設現場が目に入ってこないことはない。この街の再生のエネルギーを感じる」と話す。
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