金融機関への税金投入を繰り返さぬよう規制を強化。人材流出も進みつつある。

イラスト:三澤祐子
米国金融業界に逆風が吹いている。
米大手銀行の業績は2008年の金融危機で大幅に悪化した後、10年以降はほぼすべてが黒字転換し増益基調が続く。だが、過去最高益をたたき出したのは、M&Aや債券引き受けなどの手数料収入を伸ばしたJPモルガン・チェースなどに限られる。多くの米銀は危機前の5~8割の利益と、収益性の低下に苦しむ。
金融当局が課す課徴金も重荷だ。過去に売却した住宅ローン担保証券(RMBS)のリスク説明が不十分だったとしてシティグループは70億ドル、バンク・オブ・アメリカも160億ドル超を14年に支払う見込みだ。
課徴金は一時的だとしても、米銀の収益低下は長期化すると指摘される。主因は金融規制強化だ。
08年、米国政府は7000億ドル(約74兆円)もの公的資金を注入したが、破綻を免れた大手銀行の中には経営者への高額報酬を早々と復活させたところもあり、国民感情を逆なでした。世論を背景に、今後は銀行への税金投入回避のため、金融バブルを起こさぬよう金融規制を強化する議論が進んでいる。
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