1970年代後半から現在に至る米国の姿を起業家やシングルマザーたちの目を通じて描いた『綻(ほころ)びゆくアメリカ』(NHK出版)では、この国が分裂していく様子がリアルに浮かび上がる。著者で『ザ・ニューヨーカー』誌記者のジョージ・パッカー氏に聞いた。
George Packer●1960年カリフォルニア州生まれ。小説家、劇作家。2003年から『ザ・ニューヨーカー』誌記者。『綻びゆくアメリカ』は13年全米図書賞(ノンフィクション部門)を受賞。ⒸGuillermo Riveros
──原題『The Unwinding』にはどんな意味を込めたのですか。
しっかりと巻かれていたバネが緩くなっていくように(国が)バラバラになっていくという意味がある。米国にはつねに私たちを一つにまとめる「重力」があった。政治的にはつねに二極化傾向があったが、大事な法案が通らないことはなかった。企業と従業員の間にも共通の忠誠心があり、従業員が使い捨てにされるようなこともなかった。社会全体に「統一感」があったんだ。文化的にもそうだ。私が子どもの頃から貧困はあったが、皆、夜になれば同じテレビ番組を見て、同じまずい食事を食べて、安いコーヒーを飲んでいた。そうした共通のアイデンティティがなくなってきている。
──それを米国では多様化と呼ぶのではないですか。
確かに多様化は進み、寛容性も高まった。今や同性愛者でも社会的に重要な地位に就ける。過去に比べずっと自由だ。にもかかわらず、出身地や出身校、親の職業で人々が分断されるようになっている。50年後の運命が生まれた場所で決まるようになっている。これは悲劇だ。
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