シェールガス革命や米企業の生産回帰に沸く米国。が、新たなブームは州内格差を加速させている。
米国を世界一の天然ガス、石油生産国へ押し上げたとされるシェール革命。その最大の牽引役がテキサス州だ。1990年代後半からダラスの西に広がるバーネット地区でシェールガス開発が始まり、2008年ごろからは南部のイーグルフォード地区でシェールオイル開発が本格化している。
続出した“シェール長者” 住宅価格も急上昇
その経済効果は絶大だ。同州の実質GDP成長率は近年、全米平均を大きく上回っており、13年も3.7%(全米は1.9%)を記録した。GDPの規模も約1.5兆ドルで全米2位。鉱業は同州GDPの13%強を占め、その貢献度は全米平均の5倍に達する。次期米大統領選で共和党候補の一人と目されるリック・ペリー州知事は、「この1年の州内雇用者数の伸びはこれまでで最高」と自慢する。
シェール開発現場では採掘権相場が高騰。米国では地下権益は地主に帰属するため、採掘権を開発業者へ売ることで一夜にして資産数十億円以上の大富豪となる農家や牧場主が続出した。開発が当たれば収益の25%程度がロイヤルティとしてまた地主へ渡るため、毎日1000万円以上が懐に入る地主もいる。ある現地開発業者が契約した地主は、「自家用ジェット機を持ち、キリンや鹿を放し飼いにした牧場が見渡せる豪邸に住んでいる」という。
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